「みやぎ農業見聞のつどい・夏」を開催しました

 

~新規就農希望者が丸森町と角田市の先輩農業者を訪問~

 

 去る6月29日(土)に当公社主催、宮城県、県農業会議、JA宮城中央会の共催により「みやぎ農業見聞のつどい・夏」が開催され、就農を希望する男女8名が参加し、丸森町と角田市の先輩農業者のほ場を訪問見学しました。
 また、丸森町では、町独自就農支援制度について、さらに名取市にある宮城県の研修施設ニューファーマーズカレッジ(NFC)では、マスターコースの研修内容等について説明いただきました。
 概要をご紹介しますので、是非、就農ビジョンやイメージの具体化とともに、就農計画の参考として下さい。

 
 
◎視察園1 はるはなファーム(株) 代表取締役社長 鈴木 学 氏
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~就農の経緯~
 滋賀県出身。大学農学部卒業後、コンサルティング会社などを経て、県内のハーブ苗を生産する農業法人に5年間勤務し、生産管理や販売・営業、商品開発を経験。2003年に知り合いから農地を借りて、丸森町で独立就農した。
 全国でも数少ないガーデン用の宿根草(多年草で毎年花をつける植物)メインの生産者である。
 

 

 
~移転から現在まで~ 
 2010年に現在の土地を購入し、ハウスの建築など移転準備をすすめている最中に東日本大震災が起こった。この震災により、取引先である福島の法人から、生産部門を肩代わりしてほしいと要請があり、生産量が大幅に増えたため、2013年に法人設立を行った。
 現在は、パイプハウス26棟(約6,000㎡)、露地栽培40a、苗置き場10aで宿根草を中心に700~800種を栽培している。配送は、相手がほしい時に届くように宅配便に委託している。
 労働力は、構成員2名、常用雇用6名、パート9名。
~栽培のこだわり~  
 3~5月が繁忙期であるが、雇用のことも考えて仕事の平準化が必要となる。6~8月の農閑期に冷蔵庫に入れたものを出して栽培する等、年間通して作業を行う工夫をしている。
 量販店向けの委託生産をメインとしていたが、近頃は、造園業者やネット販売業者など委託生産でないものにも力を入れている。特にガーデンデザイナーから依頼されたものは極力探して栽培している。回転率や管理コストを考えると種類が多すぎるが、多種を扱うことで営業的にはプラスとなっている。栽培種類は、日本一かもしれない。
~販売の戦略~
 技術の習得と同じくらいに販売先の確保が大事。市場出荷だけでは、価格が安定しないため、市場外流通に関する知識と人脈の確保が重要となる。
 草花には、はやりすたりがあり、世の流れを把握することが必要となるが、コロコロと変わるのも違う。立ち位置を自分で決めることが大事。また、ガーデニングの嗜好やトレンドの変化を見逃さないように潜在的ニーズを探って、流通ニッチなところを攻めて、生産のこだわりと世の中のバランスを考えている。
 
◎視察園2 みうら農園 三浦 徹 氏
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~独立就農までの経緯~
 埼玉県出身。大学農学部を卒業後、種苗会社勤務を経て、埼玉県職員として農業改良普及センターなど8年間勤務。学生時代の先輩の紹介で、1993年32歳の時に妻子とともに角田市に移住、就農。
 勝負は3年、35歳までと考え、前職が「普及センター職員」であるプレッシャーの中で覚悟を持って臨んだ。就農当初から、JA部会の平均以上、より高いクオリティを自分に課したことは、今、考えると自分にとってプラスだったと思う。
 
~現在の経営について~
 最初は、角田市の山手に段々畑を借り、ハウスを建てた。今の場所は、1カ所15aを借りたことが始まりで、拡張とともにハウスを15年かけて除々に移設した。ハウス(300㎡程度)が12棟、露地畑は60a(使っているのは、半分位)の規模。
 現在はトマト・ミニトマト・ナスが中心で、年間約40品目を栽培。 労働力は、自分の他、妻とパート3人。今後は、子供に引き継ぐことも考えのひとつである。
 販売先は、JAを通してみやぎ生協の他、スーパーマーケットのインショップを含めた直売所、それに加え、3年前から仲卸にミニトマト全量とナスを出荷している。
 出荷量の調整が難しい露地栽培は少なくして、収入の9割は、ハウス栽培から得ている。とにかく「農業で食べていく」ことが最優先!
 減農薬・減化学肥料栽培と無農薬栽培で栽培を行ってきたが、宅配向けの無農薬栽培は、顧客の高齢化により、やめる方向で考えている。
 
~栽培などのワンポイント~
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Q トマトの加工など六次化は?
A トマトソースの話が出たが、ロスを考えるとシステムに見合う量の生産は難しいと考え、手を付けなかった。行うなら、今の倍の規模が必要である。

Q 栽培の工夫は?

A トマトの栽培は、狭い空間の有効利用と作業効率を考えて、斜め誘引をしていたが、最近は、茎をひねって折り曲げる(Uターン)捻枝栽培を行っていて、この方が自分には合っている。(右の写真参照)

Q 今までで一番大変だったことは?

A 震災の風評被害が一番こたえた。こればかりはどうしようもなく、子供2人が、大学生だったので、大変だった。

 
~研修受入について~
 「農業インターンシップ制度(公益社団法人日本農業法人協会)」に登録し、農業体験希望者の受け入れを行っている。♪♫ 希望者は、問い合わせを ♬♪
 
**先輩農業者から新規就農希望者にアドバイス**
 

★ 技術が一番大事!
★ めげないこと、やる気が大事。農的暮らしより生活を立てることを一番に考えて欲しい。

 
 **参加した皆さんの感想・・・**

 ・現在の会社員よりも自由度は増すが、より商才が必要と実感した。
 ・何よりまず技術を習得しなければいけないということを実感し、その技術をどこで身につけるかの選択肢がたくさんあることがわかった。
 ・経営能力が無ければ成立しないと感じた。まずは、実家を積極的に手伝うことから始め、技術を習得しようと思う。
 ・新規就農をするときの環境を考える貴重な機会となった。NFCのような農業研修は必要と思うので就農時にぜひ受講したい。
 ・儲かる農業のモデルを考え、それをベースにどのような農業を行うかを考えようと思った。

 
 など、先輩就農者のお話しが大きな刺激となったようです。
 今回の「つどい」が、就農への一助となることを願っています。

 
   
お問い合わせ先

担い手育成班 :吉川(よしかわ)
TEL:022-275-9192